Mさんは「苦しむ患者を見て、もし、『可哀想に』で終わったらその人の体の機能は落ちていく。患者の立場になれば気分は落ち込み、もう自分は何もできないと思い込んでしまうが、看護師はその患者のどこを鍛えればより良い生活を送ることができるかを判断して、アドバイスすることができる」と振り返る。脳外科病棟に入院していた40代の女性は脳梗塞で左半身に麻蝉が残ってしまった。女性は「動かない、こんな腕なんかいらない」と自暴自棄になっていた。Mさんは、「腕がないより、動かなくてもあったほうがいい。たとえ動かない腕でも、子どもにご飯を作ってあげる時に大根を押さえることができるでしょう。腕一本では野菜が転がって包丁で切れないわよ」と話すと、彼女の心は和らぎ、リハビリをするようになった。糖尿病で失明寸前の女性が生きる希望を失っていた時、娘の存在を知り「女親は生きているだけで存在する意味がある。娘が女性として何かに迷った時に『お母さん、こんな時はどうしたらいいの?』とあなたに聞くことができるでしょ」と話すうちに、その女性も治療に前向きになって明るさを取り戻した。退院後、Mさんに励まされた患者は何度も会いにきたという。Mさんは「退院した患者さんが会いにきてくれたことは看護師冥利に尽きる」と振り返る。
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